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クリスマス

  • 辻村七子
  • 2017年12月24日
  • 読了時間: 1分

「お誕生日おめでとうございます!」

「あっ、すみません、確かに『お誕生日おめでとうございます』といれてくださいとオーダーしたのですが、私の誕生日ではないんです」

「そうなんですか」

「小説を書いておりまして、その登場人物の誕生日なんです」

「そうなんですか」

「彼の好物が、資生堂パーラーのいちごパフェで……」

「資生堂パーラーのパフェなんですか?」

「はあ、あの、彼のお店は銀座七丁目でして……」

「はあ」

 なんやかや笑劇のようなことがありつつ、お祝いしてくださったお姉さん、本当にありがとうございました。メニューでろうそくを隠して持ってきてくださるサービスで、直前まで火がついていることが見えず、あわあわするやら嬉しいやらです。クリスマスの銀座の資生堂パーラーという固有名詞を並べるだけでとんでもない人出が想像できる中(実際にすごい人出でした)、『いつもの資生堂パーラー』を味わわせてくださったことに感謝します。本当にありがとうございました……。

 お誕生日おめでとう。

 あなたが生まれてきてくれて、私は本当に嬉しい。


 
 
 

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