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アニメにまつわる話2

<前回までのあらすじ>

どこにでもいる作家辻村七子に、編集X氏から一本の電話がかかってくる。

それは著作『宝石商リチャード氏の謎鑑定』アニメ化の可否を問うものだった。

驚きながらも「前向きに……!」と答え、パニックをおさめようとする辻村に

編集X氏が告げた衝撃的な言葉とは……!?

(裏表紙のアオリ風にしました。以下、ルポの続きです)

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『あっ、でもですね、辻村さん』

「はあ」

『まだ確定じゃないんです。もしかしたらそうはならない可能性もあります』

「アッはい」

確定じゃない?

作者に連絡をとってくださったのに?

どういうことだろう?

小説がアニメになる場合ってどんなプロセスを踏むのかな?

もしかしたら今まで、自分の小説がアニメになった作家がルポを書いているかもしれない。

そういうのを読んで、何に備えたらいいのか調べよう。

どのくらい出てくるかな。

こういう時こそ検索です。サンキューインターネット!

さあ検索、検索!

そして…………調べた…………

調べたのですが……

検索した言葉とその結果のメモが残っているので、これも備忘録にしておきます。

『小説 アニメ化』 データベース的なものが出ました。

『自分の小説 アニメに』 自分の小説 に続くサジェストが『つまらない』でSAN値チェックが入ります。そんな悲しいこと言わないで……!

『アニメになるってよ』 もうやけっぱち感が溢れています。

『自分の小説 アニメ化 どうする』 どうするんだ!? 落ち着け、パニクるな。まだパニクるような時間じゃない。

と、こんなありさまで、 当時はあまり情報が出てきませんでした。

web上は情報の更新が激しいので、

今改めて同一の内容で検索したら、また違う結果になっていると思いますが 当時は私の「パニクるな」を鎮めてくれる情報はあまりありませんでした。

ただし一つわかったのは どうやら

『アニメ化するかも』という話になっても 本当にアニメ化されるとは限らない ということでした。

漫画、小説を問わず、アニメの企画は 初めから「これ!」と決め打ちで始まるものばかりではないようで 企画会議があり 社内のコンペがあり その中でほかのグループがプレゼンする対抗馬のアニメ化候補に勝ってはじめて 計画が本格的に始動すると……

ああ……なるほどそういうことか……

仮に企画会議に小説の候補を出して、色よい返事があったとしても

そのあと作者に確認をとって「だめです」と言われたら困ってしまう、 だから企画の段階で確認はとるんだ、なるほど合理的だ……

(※ ここで辻村の心は「多分ないな」という方向に舵をきっています。期待しすぎると折れた時に痛いから!) (※ ちなみに辻村は過去にロマン大賞(現ノベル大賞)を受賞した際も、受賞第一報の電話に「あの、失礼なことを申し上げますが、詐欺ではないんですよね」と確認した経歴があります) (※ 二回くらい確認したらしく、編集部に初めて赴いた際に「そんなに詐欺っぽかった?!」と言われて恐縮しました。すみません。でもほら、いい話には裏があるものと申しますからね。関係者各位、その節は大変申し訳ございませんでした……)

いい夢……みたな……

へへっ…… ありがとう……

どこのどなたかわからないけれど、辻村の書いたものをアニメにと思ってくださった方、 ありがとう…… ありがとう…… とても嬉しかった……

何しろ挿画が雪広うた子先生なので、それだけでもうすごくアニメ映えすると思うけれど やっぱりいくらか辻村の書いている内容のことも考えてくださったのだろうし、

ありがとう…… ありがとう……

と、どこかの誰かに念を送りつつ

いつものように原稿作業を続け

それから数か月ほど経ったある日、また担当さんから電話があり (もちろんそれ以外の時にも業務上必要な電話連絡はとっています、メールもします)

「はいもしもし。辻村です」

『お世話になっております。集英社オレンジ文庫のXです。あのですね」

「(おっ溜めが入ったな、こういう時Xさんは何かいいことを言うんだよな。逆によくない情報はズバッと早めに言ってくれるところがありがたいんだよな)  はい、何でしょう」

『アニメがですね……本格的に決定になりそうです』

な、なんだって――――――――!?!??!

その時、辻村に稲妻走る。顔面は出崎フラッシュです。ギャー! パニクるな! でも一体、これからどうなるんだ!?

 → to be continued...!!!


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